1.交流人口の限界構造

地域外からの訪問者を増やす“交流人口”施策は、多くの自治体で導入されています。イベント開催や体験プログラムなどで一時的に人を集める取り組みは一定の効果を見せますが、多くの場合、その関係は「その場限り」で終わってしまいます。
なぜ定着しないのか――その背景には、“成果ありき”“イベントありき”の設計思想があります。住民との対話が不十分なまま、行政主導で組まれた交流施策では、訪問者との関係が深まりにくく、一過性の訪問体験にとどまりがちです。
2.「交流」から「関係」へと変える設計視点
「交流人口」を「関係人口」へと育てるには、訪問者にとっての“続きがある関わり方”を設計する必要があります。
例えば、地域の課題に継続的に関与できるプロジェクト、サポーター制度、オフラインとオンラインの接点を織り交ぜた仕組みなどが挙げられます。単なる「おもてなし」ではなく、「また来たい」「また関わりたい」と思える心理的接続が重要です。
総務省が提唱する“関係人口”は、こうした継続的関与の可能性を開く枠組みでもあります。

3.JASAの視点と“関係性”の再設計
JASAでは、地域と外部の人材が“対等な立場”で関われる仕組みづくりを大切にしています。受け入れる側と訪れる側に、緊張や遠慮があるうちは本当の関係は生まれません。
どのように関係が始まり、どこまで深まれば“定着”といえるのか――。JASAはこの問いを地域ごとに丁寧に紐解き、形式ではなく“意味のある関わり方”を、地域の関係企業をはじめとする皆様と共に、実直な設計サポートをいたします。
2025年6月1日
次回予告
次回 #004のテーマは「観光地を“持続する地場産業”に育てる視点」。
観光を一時的な収益源で終わらせず、地域に根づいた産業として育てるための考え方を提案します。

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JASA 日本エリアマネジメント支援協会
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