1.かつての通路、今は“にぎわいの拠点”へ

地下街というと、一昔前は「ただ通り抜けるだけの空間」という印象を持つ方もいたかもしれません。しかし近年、そのイメージは大きく変わりつつあります。各地で再整備が進み、買い物や食事、地域イベントなどが行われる“にぎわいの拠点”として再評価され、日々多くの人で賑わう場所も増えてきました。
天候に左右されず、交通結節点に直結するという強みを活かして、観光客にも安心して楽しんでもらえる地下空間。今こそ、この都市資産を“仕組み”として見直す時です。
2.インバウンドとDXの“起点”としての地下街
地下街は、地域の生活動線であると同時に、インバウンド客にとっても“最初に触れる日本の顔”となる場所です。特に最近では、免税対応店舗や多言語案内、デジタルマップの導入など、訪日外国人へのサービス拡充も進んでいます。
さらに、電子決済や来店分析、スマートサイネージなどの導入も含め、「地下街DX」の動きが静かに広がっています。生活者・観光客・事業者が交差する場だからこそ、テクノロジー活用による価値創出の可能性は、他のどのエリアよりも大きいのです。

3.JASAが提案する“価値を引き出す”視点
JASAでは、地下街を“再開発の対象”とするのではなく、すでに存在する資源と動線の中から潜在的な価値を引き出し、地域戦略に組み込むことを目指しています。新たな設備投資に頼るのではなく、「今ある強み」をどう見せ、どうつなぐか。それが、JASAが重視する“仕組みづくり”の出発点です。
DX化もインバウンド対応も、単独では完結しません。それぞれの施策が一貫性を持って機能することで、地域に持続的な流れを生み出すことができます。地下街は、まさにその“地域戦略のハブ”として機能するポテンシャルを秘めています。
2025年5月11日
次回予告
次回【視点2】のテーマは「インバウンドは地域課題の入り口にすぎない」。
観光客誘致は目的ではなく、地域の構造的課題を“見える化”する起点――
その視点から、持続可能な地域戦略を考察します。

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JASA 日本エリアマネジメント支援協会
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