1.なぜ自治体と民間はすれ違うのか

地域課題の解決には、自治体と民間事業者の連携が欠かせません。しかし、現場では「連携がうまくいかない」「話が噛み合わない」といった声が後を絶ちません。
その背景には、“立場の違い”だけでなく、“目的のズレ”や“時間軸の違い”があります。自治体は法令・予算・議会などの制約下で動く一方、民間は機動力と収益性を重視します。例えば、行政が「地域の課題解決に協力してほしい」と依頼しても、民間側は「ビジネスとして成立しない」と判断する──。このように、お互いの“前提”が共有されないまま話が進むと、連携は表面的になりがちです。
さらに、行政が使う専門用語や手続きの前提が、民間側にとっては理解しにくい壁になることも少なくありません。
2.「対話」と「交渉」は違う
自治体と民間の間では、「連携に向けた話し合い」が行われていることも多いのですが、実際には、“交渉”にとどまっているケースが多く見られます。
交渉は立場の主張であり、条件のすり合わせですが、対話は“背景や論理を共有する行為”です。例えば、自治体の求めるアウトカムが何か、民間が想定している収益モデルはどうか──そうした“根っこ”の部分を掘り下げる時間を取らないまま、「どう契約するか」「どこまで受託できるか」と話を進めると、互いの信頼は積み上がりません。
対話が不在のまま進んだ連携は、いずれ“片務的”な関係に陥り、継続性を失います。また、自治体内でも担当者の異動や理解のばらつきが起きるため、民間側にとっては不透明さがリスクになります。

3.JASAの視点と“関係構築の土台づくり”
JASAは、2022年、京都市と銀聯国際日本支社との共同ミッションの事務局として3つの分科会を運営した経験があり、その時、2024年1月11日、京都市と& UnionPay International (UPI/銀聯国際)が、地域活性化包括連携協定を締結する橋渡しをしました。
その経験を活かし、それ以降、自治体と民間が“連携前提”で動くのではなく、“関係構築の土台”を整えることを重視したアドバイスを行っています。関係を構築するには、「何を一緒にやるか」ではなく、「なぜ一緒にやるのか」を丁寧に確認する対話の設計が重要なのです。そのためにも、まずは役所内の調整ルール、委託契約の自由度、担当者の異動時の引き継ぎ体制など、制度的・構造的なハードルも事前に整理しておく必要があります。
JASAは、両者の“論理”や“時間軸”“文化の違い”を翻訳しながら、相互理解を促す“対話のファシリテーション”を行います。連携がうまくいく地域には、決まって「継続的に対話できる仕組み」があるのです。
JASAは、行政と民間の双方にとって“伴走しながら信頼を育てる土台”を設計し、対話の質と頻度を両立させる支援を提供しています。
2025年11月1日
次回予告
次回 #014のテーマは「文化財を“触れられる資源”に変えるには」。
保護と活用のバランスを取りながら、文化資源を地域価値に変えていく視点を掘り下げます。

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JASA 日本エリアマネジメント支援協会
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